2013年 10月 16日
大好きな頭撫で |
翔輝がラッタル付近に到着した時にはもう、瑠璃はラッタルを上り切っていた。素人とは思えない速さである。
日本海軍には軍艦に女を乗せてはならないという規則があるのだが、誰も注意しなかった。誰が好き好んで自分の首が飛ぶようなマネをするものか。
距離にして五メートル。今までは三〇〇〇キロ以上離れていた二人の距離が、今はわずか五メートルにまで縮まっていた。手を伸ばせば触れられる。そんな短い距離にまで???
「瑠璃???」
「翔輝様???」
お互いの小さな声までが聴こえる。そんな短い距離。
日本列島の長さに匹敵する距離――これは今までの物理的距離。
一年という長い時間――これは会えなくなった時間という距離。
それが今、五メートルというわずかな距離。触れるまで数秒もかからない時間の距離。そこまで近くなったのだ。
きれいな着物を着こなす瑠璃は沈黙したままだった。が、そのつぶらな瞳からはぽろぽろと涙が溢れ出ていた。
「瑠璃???」
翔輝も呆然と立ち尽くしていた。
二人は一歩も動かない。ただ、見詰め合うだけ。だが、それも終わった。
「翔輝様!」
瑠璃は駆け出し、一瞬で翔輝の胸に飛び込んだ。懐かしい感触、匂い、声、全てが今目の前にある。
胸の中で泣いている幼なじみを、翔輝は強く抱き締めた。
「瑠璃。久しぶり。元気だったか?」
返事はなかった。返って来たのは泣き声だけだった。嗚咽交じりのその声は、記憶よりも少し大人っぽかった。
http://www.vmi1.com/
チャンルー ブレスレット 作り方
ブランド アクセサリー
アクセサリー メンズ
「翔輝様! 私、私???ずっと会いたかったですわ!」
「僕もだよ。それなのに???ごめんね。ずっと会えなくて」
「翔輝様???ッ!」
二人の抱き合う様子を、兵達も微笑んで見詰めていた。
艦魂達も嬉しそうにしている者、感動して泣いている者、呆然と立ち尽くしている者、そして、不機嫌そうに見詰めている者。皆それぞれだった。
大和は最後の不機嫌そうに見詰めているである。大和だけではない。陸奥や伊勢、武蔵、(なぜか)榛名達もである。金剛は別の意味で不機嫌(軍規違反をしているから)だった。
しばらく泣いていた瑠璃もようやく落ち着きを取り戻した。
「翔輝様???ひゃッ!」
正気を取り戻すと、自分が今している行動に驚き、赤面する。急いで翔輝から離れ、息を整える。そして、冷静さを取り戻すと、着物を優雅に揺らして翔輝の前で会釈する。
「お帰りなさいませ。翔輝様」
静かに響いたその声に、翔輝も優しい声で返す。
「あぁ、ただいま。瑠璃」
翔輝はそっと瑠璃の頭を撫でてやった。瑠璃も大好きな頭撫で。瑠璃はとても嬉しそうな笑みで翔輝を見上げる。
なんとも微笑ましい光景。こんな二人を祝福するのは至極当然???
「いつまでやってるんでしょうか?」
大和は感情のない氷のように冷たい視線を向けている。それは大和だけではない。陸奥や伊勢、武蔵に榛名といったメンバーもだ。
「あらあら???」
長門も苦笑いしかできない。この状況、さすがの長門でも対処不能である。
少し離れた所にいる山城もどこか不機嫌そうである。そんな山城に扶桑が「何よ何よ。焼いちゃってるの?」とひやかすと、必殺のパイルドライバーが炸裂した。
その間、翔輝と瑠璃は春の風のように朗らかな空気が漂っていた。どちらかというと甘い香りか、桃色の空気に近い気がする。
瑠璃は嬉しそうに翔輝を見詰めていたが、しばらくすると『大和』を見るようになっていた。世界最大最強の不沈戦艦をこの目で見ようという気持ちなのだろう。天高くそびえ立つ艦橋、どんな敵艦をも粉砕する巨大な主砲、そして???
「???ッ!」
そこで瑠璃の表情に変化が起きた。だがそれは、とても変化なんていうレ
日本海軍には軍艦に女を乗せてはならないという規則があるのだが、誰も注意しなかった。誰が好き好んで自分の首が飛ぶようなマネをするものか。
距離にして五メートル。今までは三〇〇〇キロ以上離れていた二人の距離が、今はわずか五メートルにまで縮まっていた。手を伸ばせば触れられる。そんな短い距離にまで???
「瑠璃???」
「翔輝様???」
お互いの小さな声までが聴こえる。そんな短い距離。
日本列島の長さに匹敵する距離――これは今までの物理的距離。
一年という長い時間――これは会えなくなった時間という距離。
それが今、五メートルというわずかな距離。触れるまで数秒もかからない時間の距離。そこまで近くなったのだ。
きれいな着物を着こなす瑠璃は沈黙したままだった。が、そのつぶらな瞳からはぽろぽろと涙が溢れ出ていた。
「瑠璃???」
翔輝も呆然と立ち尽くしていた。
二人は一歩も動かない。ただ、見詰め合うだけ。だが、それも終わった。
「翔輝様!」
瑠璃は駆け出し、一瞬で翔輝の胸に飛び込んだ。懐かしい感触、匂い、声、全てが今目の前にある。
胸の中で泣いている幼なじみを、翔輝は強く抱き締めた。
「瑠璃。久しぶり。元気だったか?」
返事はなかった。返って来たのは泣き声だけだった。嗚咽交じりのその声は、記憶よりも少し大人っぽかった。
http://www.vmi1.com/
チャンルー ブレスレット 作り方
ブランド アクセサリー
アクセサリー メンズ
「翔輝様! 私、私???ずっと会いたかったですわ!」
「僕もだよ。それなのに???ごめんね。ずっと会えなくて」
「翔輝様???ッ!」
二人の抱き合う様子を、兵達も微笑んで見詰めていた。
艦魂達も嬉しそうにしている者、感動して泣いている者、呆然と立ち尽くしている者、そして、不機嫌そうに見詰めている者。皆それぞれだった。
大和は最後の不機嫌そうに見詰めているである。大和だけではない。陸奥や伊勢、武蔵、(なぜか)榛名達もである。金剛は別の意味で不機嫌(軍規違反をしているから)だった。
しばらく泣いていた瑠璃もようやく落ち着きを取り戻した。
「翔輝様???ひゃッ!」
正気を取り戻すと、自分が今している行動に驚き、赤面する。急いで翔輝から離れ、息を整える。そして、冷静さを取り戻すと、着物を優雅に揺らして翔輝の前で会釈する。
「お帰りなさいませ。翔輝様」
静かに響いたその声に、翔輝も優しい声で返す。
「あぁ、ただいま。瑠璃」
翔輝はそっと瑠璃の頭を撫でてやった。瑠璃も大好きな頭撫で。瑠璃はとても嬉しそうな笑みで翔輝を見上げる。
なんとも微笑ましい光景。こんな二人を祝福するのは至極当然???
「いつまでやってるんでしょうか?」
大和は感情のない氷のように冷たい視線を向けている。それは大和だけではない。陸奥や伊勢、武蔵に榛名といったメンバーもだ。
「あらあら???」
長門も苦笑いしかできない。この状況、さすがの長門でも対処不能である。
少し離れた所にいる山城もどこか不機嫌そうである。そんな山城に扶桑が「何よ何よ。焼いちゃってるの?」とひやかすと、必殺のパイルドライバーが炸裂した。
その間、翔輝と瑠璃は春の風のように朗らかな空気が漂っていた。どちらかというと甘い香りか、桃色の空気に近い気がする。
瑠璃は嬉しそうに翔輝を見詰めていたが、しばらくすると『大和』を見るようになっていた。世界最大最強の不沈戦艦をこの目で見ようという気持ちなのだろう。天高くそびえ立つ艦橋、どんな敵艦をも粉砕する巨大な主砲、そして???
「???ッ!」
そこで瑠璃の表情に変化が起きた。だがそれは、とても変化なんていうレ
by needbook
| 2013-10-16 16:22